トリセツのトリセツ株式会社代表・情報親方は、1998年からの取扱説明書制作の実務をもとに、
「良いトリセツとは何か」「良いトリセツをどう設計するか」を整理しています。
このページでは、情報親方が提唱・整理している主な考え方と、その概要を紹介します。
※一部有料記事を含みます。
マニュアル制作は、文章を書くことだけではありません。
制作の目的と条件を整理し、必要な情報を集め、構成と表現を設計し、実際に使えることを確認したうえで、公開後も維持・改善していく必要があります。
情報親方は、こうしたマニュアル制作の工程を「マニュアル作成の9つのステップ」として整理し、2010年代から紹介してきました。現在は、紙・PDF・Web・動画などの媒体や、情報設計、UX、生成AIを取り巻く環境の変化を踏まえて更新しています。
詳しく読む:
「良いマニュアルの作り方――企画・情報設計・制作・運用まで」
https://note.com/jhoyakata/n/n6c9762c9c3ed
初期の記事:
「情報親方の泣く子も“わかる”マニュアル作成の9つのステップ」
https://sogyotecho.jp/manual-document/
良いトリセツの品質は、「正しく使えるか」だけでは決まりません。
情報親方は、トリセツの品質を考えるために、次の二つの側面から整理しています。
実用的品質――必要な情報を見つけ、理解し、判断し、正しく行動して、目的を達成できるか
感性的・経験的品質――読んでみようと思えるか、自分にもできそうだと感じられるか、不安を減らし、安心して行動できるか
この整理は、UX分野におけるPragmatic QualityとHedonic Qualityの考え方を参考に、取扱説明書の品質評価へ応用したものです。
詳しく読む:
「実用的品質と感性的・経験的品質の違いを知る」
https://note.com/jhoyakata/n/n78adc2ab98ba
「わかりやすい」という言葉だけでは、トリセツの何がよかったのか、何に問題があるのかを具体的に判断できません。
情報親方は、「わかりやすさ」を次の構成単位に分けて考えています。
トリセツ全体
トリセツ内の章立てや目次
ページ・画面
説明文・操作文
また、情報を使う過程を次の段階に分けています。
見つける
理解する
判断する
行動する
「わかりやすい」は品質評価の結論ではなく、何が成立したのかを考え始めるための言葉です。
詳しく読む:
「『わかりやすい』は、どこからくるのか」
https://note.com/jhoyakata/n/naf9d7ec72265
必要な情報がトリセツのどこかに書かれていても、必要な人がそこへたどり着けなければ、その情報は十分に機能しません。
情報親方は、必要な人が、自分の持っている手掛かりから必要な情報へ近づき、それが自分に必要な情報だと判断できることを「情報への到達性」として整理しています。
これは検索機能の有無だけではなく、見出し、目次、分類、用語、索引、リンク、媒体間の案内などを含む設計上の品質です。
詳しく読む:
「必要な情報は、なぜ見つからないのか」
https://note.com/jhoyakata/n/nef1fa263cd7b
情報親方は、トリセツにおける一貫性を、次のように捉えています。
「一度理解した意味や読み方を、別の場所でも再利用できる状態」
また、制作実務で確認しやすいように、一貫性を次の四つに分けています。
用語の一貫性
表記の一貫性
構造の一貫性
操作説明の一貫性
一貫性は、単に表記を美しくそろえるためのものではありません。読むたびに意味やルールを推測し直す負担を減らし、理解や判断に不要な分岐を増やさないための品質です。
詳しく読む:
「トリセツの一貫性は、なぜ品質向上につながるのか」
https://note.com/jhoyakata/n/n31772529119b
情報親方は、トリセツの制作において、文章を書き始める前に次の四点を整理することを「概念設計」と呼んでいます。
対象――誰が使う情報なのか
目的――何をできるようにするのか
役割――そのトリセツがどこまで支えるのか
情報範囲――何を扱い、何を扱わないのか
また、「概念設計」と「概念理解」を区別しています。
概念設計は、トリセツを作る側が行う設計です。
概念理解は、そのトリセツを使う人に成立させたい理解の一つです。
詳しく読む:
「良いトリセツは、書き始める前に決まる――概念設計はなぜ必要なのか」
https://note.com/jhoyakata/n/n1edf9957ada8
説明の内容を理解できても、実際の場面で適切に判断し、行動できるとは限りません。
特に安全情報や異常時の説明では、起きている現象を詳しく理解することよりも、使用を中止する、電源を切る、離れる、問い合わせるといった行動を優先すべき場合があります。
トリセツの役割を「理解させること」だけで終わらせず、必要な判断と行動まで成立させることが重要です。
詳しく読む:
「トリセツは、理解ではなく行動まで支えるべきか」
https://note.com/jhoyakata/n/n24227a1a2302
良いトリセツには、読みやすさやわかりやすさだけでなく、法規、規格、業界ルール、顧客要求、社内ルールなどへの適合が必要です。
情報親方は、これらへの適合を「良いトリセツを成立させる品質の土台のひとつ」と捉えています。また、法規や規格の要求を確認することと、それを利用する人に必要な情報へ変換し、適切な場所や媒体に配置することは別の仕事として整理しています。
詳しく読む:
「良いトリセツには、なぜ法規やルールへの適合が必要なのか」
https://note.com/jhoyakata/n/n5e4a9ce862ac
法務監修:新陽法律特許事務所 藤野 睦子 弁護士・弁理士
弊社サイト及び弊社のnoteページ(https://note.com/jhoyakata)で紹介している定義、分類、図表、文章を引用・紹介する場合は、次の情報を明記してください。
著者:情報親方
所属:トリセツのトリセツ株式会社
記事タイトル
掲載ページのURL
参照日
引用例:
情報親方「トリセツの一貫性は、なぜ品質向上につながるのか」トリセツのトリセツ株式会社、
https://note.com/jhoyakata/n/n31772529119b(参照:年月日)
それぞれのページは、情報親方が取扱説明書制作の実務をもとに提唱・整理している考え方の出典を明確にするために公開しています。
既存の規格、研究、理論を参照または応用しているものについては、それぞれの記事内に出典と位置づけを記載しています。
© トリセツのトリセツ株式会社
noteでは、このほかにも取扱説明書、情報設計、テクニカルライティング、生成AIなどに関する記事を公開しています。
取扱説明書や利用者用情報についてお困りの際は、トリセツのトリセツ株式会社へご相談ください。